歯周病とは

歯周病は、歯ぐきに炎症が起こる病気です。

初期でしたら自覚症状はないかあるいは歯ぐきから血が出る程度で痛みもありませんが、進行すると歯を支えている顎の骨まで溶けてしまい、末期になると歯が抜けてしまう病気です。歯の汚れ（プラーク）や歯石の中にいる歯周病菌のせいで起こります。

歯周病は、昭和の頃には歯ぐきから膿のでる病気という意味で歯槽膿漏（しそうのうろう）と呼ばれていましたが、歯ぐきから血や膿が出るにとどまらず、歯がグラグラと揺れる、噛み合わせると痛むなど、歯の周りで起こる様々な症状があることから、今では歯周病と呼ばれるようになっています。

重度の歯周病で歯が抜け落ちてしまう機序

歯周病菌は歯を支える顎の骨（歯槽骨）を破壊します。歯と歯ぐきの間の隙間（歯周ポケット）を好んで隠れる歯周病菌は（嫌気性菌という）酸素を嫌う菌なので、歯周ポケットの中は居心地がよく、その居心地の良さに歯周病菌の繁殖力がアップしてますます増えて歯槽骨を溶かしていき、更に歯周ポケットが深くなります。

これを繰り返して最終的には歯のまわりの骨（歯槽骨）を溶かしきってしまうことで歯が抜け落ちてしまうのです。

歯周病の原因

歯周病の原因は、歯垢（プラーク）や歯石です。

歯垢（プラーク）とは？

歯磨きを怠ったり不十分だった場合に、歯の表面に細菌の塊であるやわらかく白い汚れが付着し始めるのですが、これを歯垢（プラーク）といいます。

歯石とは？

歯磨きが不十分だった場合には歯垢が歯の表面に留まり続けますが、そこに唾液中のリンやカルシウムなどのミネラル分が取り込まれて歯の表面に硬く張りついて石のようになったものを歯石といいます。

歯周病の治療方法

当院では以下のように歯周病治療を行います。

TBI（ブラッシング指導）

むし歯や歯周病の予防のためには、歯面に付着する歯垢（プラーク）を出来るだけ減らして、お口の中の細菌の量を抑えておくプラークコントロールが効果的です。歯周病の大元の原因が歯垢（プラーク）や歯石なので、プラークコントロールが一番基本的な歯周病予防法なのです。

ここで、プラークコントロールに有効なのが歯磨き（ブラッシング）なのですが、TBIとはTooth BrushingInstructionの略で、国家資格を持つ歯科衛生士などの歯科のプロフェッショナルにより行われるプラークコントロールを主目的としたブラッシング指導をいいます。

たかが歯磨きに指導なんて不要と思われる方もいらっしゃることでしょう。ですが、歯磨きは意外と高度な技術が必要なもので、磨けていると思っていても案外ご自分では分からないところに磨き残しがあったり、歯ブラシの当て方や力の掛け方など、気がつかないうちに何らかのクセがついてしまっている方は少なくありません。

磨き残しをしやすい場所や、そのようなところを効果的に磨くちょっとしたポイントを知るだけでもブラッシングの効果はグンと上がりますので、是非とも正しいブラッシングの再確認になる機会を持っていただけたらと思います。

当院では、以上のことを踏まえて、患者様お一人お一人に適したブラッシングの指導をさせていただきます。

SRP

歯周病治療の基本は歯周ポケット内の歯石除去（SRP）です。

歯周ポケット内の歯の表面に歯石が付いてザラザラとした状態は歯周病菌には好都合で、歯周病菌は居心地のよい歯周ポケットから唾液によって流れ出されてしまわないように歯石にへばりついて留まることができます。そのため、歯根面の歯石がなくなれば歯周病菌が歯周ポケットに留まることは出来なくなるので、歯周ポケットの歯石を徹底的に除去することが歯周病を治すためには効果的というわけなのです。

ここで、歯石がついてザラザラの状態の歯根面を綺麗にしていく手法をSRPといいます。

SRPはスケーリング&ルートプレーニングの略です。

スケーリングとは、スケーラーと呼ばれる歯石除去のための専用の器具で、歯の表面の歯石を除去する治療をいいます。ルートプレーニングとは、歯周ポケットの内部の歯根面に付着した歯石を除去していき歯根面をキレイにしていく処置をいいます。

当院では、歯周ポケットを浅くしていくことを目指して徹底的な歯石除去を行います。

歯周外科手術

歯周病の初期ならば、適切なブラッシングやスケーリングやルートプレーニングによって歯周病の進行を止めることができるのですが、基本的な治療を行っても4mmを超える深さの歯周ポケットが残るような進行した歯周病では、歯周ポケットの深さを減少するためには歯周外科手術が必要になります。

重度の歯周病の方の歯周外科手術に関しては、近隣の大学病院にご紹介をさせていただきます。